🗓️ 最終更新日: 2025-06-18
エビコウヤクタケ属(Cylindrobasidium)は、樹木の枯れ枝に平らに広がるコウヤクタケ類の一グループです。一見地味ですが、特徴的な涙形の胞子と、初期の丸い斑点状の成長パターンが同定の決め手となります。タマバリタケ科では稀なコウヤクタケ型の属です。
エビコウヤクタケ属は担子菌門・ハラタケ目・タマバリタケ科(Physalacriaceae)に属します。この科にはナラタケ、エノキタケ、ツエタケなど傘と柄を持つきのこが多数含まれますが、本属はコウヤクタケ型をとります。
分子系統解析により、エビコウヤクタケ属の系統的位置が明確になりました。特にCylindrobasidium torrendiiのゲノム解読は画期的で、白色腐朽と褐色腐朽の中間的な木材分解メカニズムを持つことが判明(Floudas et al., 2015)。これは従来の「白色腐朽菌vs褐色腐朽菌」という二分法に疑問を投げかける重要な発見となりました。
本属の基準種で、最も普通に見られる種です。iNat観察記録数は同種とされるC. evolvensを合わせると約700件。和名は「葡萄(えび)色」のコウヤクタケということからですが、成熟して乾燥すると淡色になります。初期は帯桃褐色の中心部と顕著な白色の縁部を持つ丸い斑点として現れ、次第に融合して大きな背着生の子実体になります。時に上部の縁が外側に成長して小さな棚状になることも。胞子は8–10 × 4–5 µmの涙形(片方の端がツンと尖る)で、これが最大の識別点です。主に広葉樹の湿った枯れ枝に発生します。
エビコウヤクタケ属の種は、森林生態系における重要な分解者として機能します。主に腐生菌として枯れ枝や倒木を分解しますが、時に生きた樹木に寄生することもあります。特に落枝の下側の湿った部分に好んで発生します。
興味深いことに、エビコウヤクタケは南アフリカで外来種のアカシアに対する生物的防除剤として実用化されています。切り株に塗布することで萌芽を抑制する効果があります。また、ヨーロッパではキクイムシの坑道から本属菌(C. ipidophilum)が発見されており、昆虫との生態的関連も示唆されています。
フィールドでの見つけ方:広葉樹の枯れ枝をひっくり返してチェック!初期は帯桃褐色の丸い斑点として現れ、幼菌と成菌でかなり印象が異なります。成熟しても縁が白色のままというのが重要な特徴です。ルーペで観察すると、平滑〜やや凸凹した表面が確認できます。確実な同定には顕微鏡で涙形の胞子を確認することが重要です。
各形質の対数尤度比(log positive likelihood ratio)を示しています。
緑色のカード:その分類群に特徴的な形質
オレンジ色のカード:他の分類群に特徴的な形質
グレーのカード:統計的に有意でない(95% CIが0をまたぐ)
信頼区間(CI)は95%信頼区間を示しています。CI下限が0を超える場合、統計的に有意な正の関連があることを示します。