🗓️ 最終更新日: 2025-05-29
- 形態的にとても多様で、エノキタケ、ナラタケといった知名度の高いきのこを含みますが、いまいち分かりやすい共通の特徴がない、捉えどころのない科です…
- 傘と柄を持つハラタケ型が主流ですが、背着生のもの(エビコウヤクタケ属)や地下生菌(ギアナガスター属)も無くはないです🍄
- 菌糸系は1菌糸型(monomitic)で、生殖菌糸のみを形成し、クランプが存在します🔬
- 担子器は棍棒状で、通常2〜4個の小柄(sterigma)を持ちます…普通ですね!
- 担子胞子は薄壁・無色で、メルツァー試薬に反応しません(非アミロイド)…これも普通ですね!🧪
- エノキタケ属は冬季に発生する特徴があり、粘性のある傘を持ちます❄️
- ナラタケ属は黒色の根状菌糸束を形成し、植物病原菌として有名です⚠️
タマバリタケ科は担子菌門ハラタケ目に属する菌類のグループで、元々はタマバリタケ属のみを含む小さな科でしたが、分子系統学的研究によりエノキタケ属、ナラタケ属など多くの属が統合され、現在では多様な形態と生態を持つ大きな科となっています。1菌糸型の菌糸構成とクランプの存在が辛うじて科に共通する分類形質で、肉眼的形態は様々。腐生菌から強力な植物病原菌まで様々な生態的役割を担っています。特定の基質に選好性があるマツカサキノコ属、Cryptomarasmius属など、個性的なメンバーも揃っています。
タマバリタケ科は1970年にE.J.H. Cornerによって定義され、1985年にJacques Berthierによって改訂されました。本科はのちに、分子系統学的研究により大きく再編成されました。
最も重要な変更は、以前独立していた「ツエタケ科(Xerulaceae)」が本科に統合されたことです。これによりXerula属、エノキタケ属、ナラタケ属などが同じグループに含まれることが明らかになりました。現在も世界各地で新種の発見が続いており、分類体系は今後も更新される可能性があります。
タマバリタケ科では世界で最も多く観察される属で、約35-40種が含まれます。以前は単一種と考えられていましたが、1970年代に生物学的種概念が導入され複数種に分けられました。柄につばを持ち、黒色の根状菌糸束を形成するのが特徴。多くの植物に寄生し「白色腐朽」を起こす強力な病原菌で、森林に大きな被害をもたらします。オレゴン州のA. ostoyaeの一個体は600ヘクタール以上に広がり、世界最大の生物個体とも言われている、というのは有名な話ですね。
温帯域を中心に約10-12種が分布し、冬に発生することで特徴づけられます。代表種かつ栽培種のエノキタケは野生型と栽培型で形態が大きく異なり、野生型は黄褐色〜茶褐色の傘を持ちますが、栽培型は白色で細長い柄を持ちます。粘性のある傘と暗褐色〜黒褐色の柄が識別ポイント。エノキタケは世界の生産量の約10%を占める重要な食用きのこです。
ツエタケの仲間の一グループ。中型〜大型の子実体を形成し、粘性のある傘と長く強靭な柄が特徴的です。多くは柄の基部が根状に長く伸び、大型の担子胞子を形成します。分子系統解析によりHymenopellis、Paraxerula、Ponticulomycesなどの複数の属に再編成されましたが、系統関係についてはさらなる研究が必要です。広葉樹林内の腐朽木や土壌上に発生する腐生菌で、アジア地域で特に多様性が高いです。
本科の模式属で、世界的に約30種が知られています。極小きのこなので野外で目に留まることはほとんどありませんが(あってもチャワンタケの仲間と誤認されているかも)、球形〜類球形の頭部と細長い柄を持つ独特の形態が最大の特徴で(その名の通り、玉と針!)、頭部に孔を持つものもあります。主に南半球の熱帯地域に分布し、関東地方でも稀にそれらしきものが観察されます。広葉樹の腐朽材や竹の上に発生する腐生菌で、中国の亜熱帯地域では近年新種も発見されています。
タマバリタケ科の菌類は北極から熱帯、海洋環境から淡水域、半乾燥林まで極めて広い分布域を持ちます。多くの種は枯れた葉や木材を分解する腐生菌として物質循環に重要な役割を果たしていますが、Armillaria属のように強力な植物病原菌として森林に大きな被害をもたらすものもあります。
ナラタケ属は根状菌糸束を通じて土壌中を広がり、新たな宿主に感染する能力を持ちます。一方、エノキタケ属は主に冬季に子実体を形成し、低温に適応した生態を示します。ミカウレオラ属(Mycaureola)はなんと、紅藻類に寄生する海生菌!このように同じ科内でも生態的戦略は多様で、それぞれが独自のニッチを占めています。
実用的な同定の流れ:科の共通の分かりやすい形質はないので、それぞれの構成属を覚えるのが一番の近道!子実体の形態、つばや根状菌糸束の有無、発生時期(タマバリタケ科は遅く発生する種が多い印象)など一般的な性質をしっかり記録しましょう。担子胞子や菌糸の形態は平凡ですが、個性がないというのもまた個性!一方、シスチジアは種によって独特で同定に役立つ場合があります(ツエタケの仲間、マツカサキノコ属など)。属によっては形態だけでは種レベルの同定は困難なので、正確な同定にはDNA解析(ITS、LSU、tef1-α等)が推奨されます!
各形質の対数尤度比(log positive likelihood ratio)を示しています。
緑色のカード:その分類群に特徴的な形質
オレンジ色のカード:他の分類群に特徴的な形質
グレーのカード:統計的に有意でない(95% CIが0をまたぐ)
信頼区間(CI)は95%信頼区間を示しています。CI下限が0を超える場合、統計的に有意な正の関連があることを示します。