🗓️ 最終更新日: 2025-05-25
- 針葉樹の球果(松ぼっくり)を基質とする特異的な生態が最大の特徴で、基質で種類がほぼ決まります🍄
- 晩秋から早春、他のきのことはちょっとずれた時期に発生する傾向があります
- 子実体は小型(傘径1-3cm程度)で、繊細でかわいらしい外観です✨
- 傘の表皮構造は子実層状被で、洋梨形薄壁の細胞が特徴的、傘シスチジアも混じります
- 胞子は小型で非アミロイド(ヨード反応陰性)、白色の胞子紋を形成します
- 種によって異なるシスチジア(縁・側・傘シスチジア)の形態が顕微鏡同定の決め手
- 日本ではマツ類→マツカサキノコモドキ、トウヒ類→マツカサキノコでほぼ確定💡
- ストロビルリン化合物を産生する抗菌性を持つキノコとしても注目されています
マツカサキノコ属は針葉樹の球果(松ぼっくり)という特殊な基質に特化したキノコの仲間です。小型で繊細な外観ながら、宿主選好性が高く、種ごとに特定の針葉樹の球果を好むという興味深い生態を持っています。日本では主にアカマツ・クロマツの球果に発生するマツカサキノコモドキと、トウヒ類の球果に発生するマツカサキノコが代表的で、基質を確認すれば種の同定が比較的容易な属でもあります。
マツカサキノコ属(Strobilurus)は担子菌門・ハラタケ綱・ハラタケ目・タマバリタケ科に属する腐生菌です。1962年にRolf Singerによって設立された比較的新しい属で、以前はAgaricus、Collybia、Marasmiusなどの属に分類されていた種が移行されました。
分子系統解析により、マツカサキノコ属はタマバリタケ科内で単系統群を形成することが確認されています。ただし、スギエダタケ(S. ohshimae)については本属から除外される可能性があります。宿主選好性と地理的隔離が種分化の主要な推進力となったと考えられ、東アジア・ヨーロッパ・北米の各地域で独特の種が進化しています。
日本ではアカマツ・クロマツの球果に発生する代表種。傘は直径1-2cm、黄褐色~褐色で光が当たらないと白色に近い(同じ科のエノキタケと同様の性質)。襞は白色で密、柄は2-7cm×1-2mmで基部が深く根を張ります。日本本土のマツ類の球果からの発生なら本種でほぼ確定です。リギダマツなど外来のマツに生えることも…
ヨーロッパ原産でトウヒ属樹木の球果に特化。傘は直径1-2.5cm、暗褐色~赤褐色で中央部に小さなコブがあります。襞は白~灰白色で広幅、ほぼ離生。柄は2-5cm×1-2.5mmで基部は白色菌糸に覆われます。日本ではドイツトウヒや在来トウヒの球果で確認。
ヨーロッパに分布し、マツとトウヒの球果に発生。傘は直径0.5-1.5cm、赤褐色~褐色で吸湿性(水分による色変化あり)。柄は4-7.5cm×1-2mmで基部が根状。胞子は5.0-7.5×2.4-4.0μm。ストロビルリンAという、他の菌類の呼吸を止める抗生物質を産生することで知られます。本当に日本に分布するのかどうかは不明…
2016年に新種として発表された沖縄県の固有種で、地中に埋もれたリュウキュウマツの松毬から発生します。傘は白色、柄は白色の毛に覆われ根状に長く伸びるのが特徴的。本州のマツカサキノコモドキとは基質のほか、シスチジアの形状なども異なり、南西諸島の生物多様性を示す重要な発見です。
マツカサキノコ属は全て腐生菌で、針葉樹の球果を主要な基質として有機物を分解します。特に半分土に埋もれた球果や腐朽の進んだ球果を好み、限られた栄養源を効率的に利用する特殊な生態を持っています。発生時期は主に春から初夏にかけてで、種や地域によって異なります。
本属の大きな特徴は宿主選好性の高さです。種ごとに特定の針葉樹種の球果に特化しており、これが種分化の主要な推進力となっています。また、ストロビルリン化合物を産生することで他の菌類との競争に優位性を持ち、現在この化合物は重要な農業用殺菌剤として利用されています。
近縁種との識別ポイント:マツカサキノコ属と混同しやすいのはニセマツカサシメジ属(Baeospora)とクヌギタケ属(Mycena)です。ニセマツカサシメジ属は平行菌糸被の傘表皮とアミロイド反応陽性の胞子、秋に発生する点、松ぼっくりから「一旦地中に潜って」発生するマツカサキノコモドキと違って直接上を目指して伸長する傾向などで区別できます。クヌギタケ属にも針葉樹球果に生える種がありますが(偶発的発生含む)、塩素臭があるものが多く、傘表皮が疣状または指状突起を持つ菌糸である点が異なります。顕微鏡観察ではシスチジアの形態が決定的な識別点となります。
各形質の対数尤度比(log positive likelihood ratio)を示しています。
緑色のカード:その分類群に特徴的な形質
オレンジ色のカード:他の分類群に特徴的な形質
グレーのカード:統計的に有意でない(95% CIが0をまたぐ)
信頼区間(CI)は95%信頼区間を示しています。CI下限が0を超える場合、統計的に有意な正の関連があることを示します。