🗓️ 最終更新日: 2025-05-31
- 生きた樹木の樹皮上に白色〜灰色の背着生の子実体を形成します🌳
- 子実体は薄い平板状で、基質に密着して広がり、厚さは僅か0.1-2mm程度です
- 表面は平滑〜粉状で、乾燥すると亀裂が入ることがあります🔍
- 多くの種で樹種選好性が高く、種ごとに特定の樹木(ビャクシン属、カエデ属、コナラ属など)に発生します🍂
- 顕微鏡下では特徴的な樹枝状糸状体(dendrohyphidia)が観察されます✨
- いわゆるコウヤクタケ類ですが、系統的にはハラタケ目ニア科(Niaceae)に属する意外な仲間です!ニアと言えば海生菌ですね…💡
- 地衣類や他のコウヤクタケ類と混同しやすいため、宿主樹種の確認と担子胞子(丸くて大きい)や樹枝状糸状体の観察が重要です🎯
ヒビコウヤクタケ属(Dendrothele)は生きた樹木の樹皮上に白色〜灰色の薄い背着生の子実体を形成します。一見すると地味な「パッチ」のようですが、実は分子系統解析により、「きのこ型の祖先から進化した可能性がある」という興味深い進化の謎を秘めています。世界で約36種が知られ、多くは特定の樹種と密接な関係を持っています。
ヒビコウヤクタケ属はハラタケ目ニア科に属する担子菌類で、ニア科で最多のiNat観察記録数を誇ります。かつてはコウヤクタケ科(Corticiaceae)に分類されていましたが、分子系統学的研究により現在の位置づけとなりました。
興味深いことに、本属は形態的には板状の背着生ですが、系統学的にはホウライタケ科(Marasmiaceae)のようなきのこ型の子実体を持つ仲間に近縁です。これは祖先的な形質を保持しているか、あるいはきのこ型から進化的に単純化された可能性を示唆しています。分類学的位置は近年大きく変更されており、一部の種は他の属への移行も進んでいます。
本属で世界的には最もiNat観察記録が多い種で、主にビャクシン類(Juniperus)の樹皮上に発生します。特に北米東部のJuniperus virginianaでの観察例が多数報告されています。子実体は白色で平滑〜粉状、担子胞子は楕円形〜円筒形。多くのシノニムを持ち、分類学的な混乱の歴史を物語っています。
カエデ属樹木に特化した種で、主にヨーロッパに分布。やはり本属に典型的な白色〜灰白色の薄い子実体を形成し、乾燥すると亀裂が生じることがあります。担子胞子は類球形〜広楕円形で、4胞子性の担子器を持ちます。
主にコナラ属樹木の生きた樹皮上に発生し、北米とヨーロッパに分布。白色でやや粉状の子実体は時に不規則な形状を示します。テキサス州ではヒッコリー(Carya tomentosa)上でも確認されており、宿主範囲がやや広い可能性があります。担子胞子は類球形〜広楕円形。
本属の中で最も宿主範囲が広い種といわれており、ニレ属、ペカン属、コナラ属、Sideroxylon属など多様な広葉樹に発生します。北米南部、特にテキサス州の都市部でよく観察されます。都市環境への適応力が高く、都市の生物多様性指標としての価値も注目されています。担子胞子は球形〜類球形。
ヒビコウヤクタケ属の全ての種は、生きた樹木の樹皮上に生育するという特異的な生態を持ちます。これは多くの担子菌類が倒木や枯死木を分解するのとは対照的で、樹皮表面に生育する表面共生菌または弱い腐生菌として機能していると考えられています。
樹種選好性の高さは本属の大きな特徴で、それぞれの種が特定の樹種または樹種群と密接な関係を持っています。一般的に宿主樹木に重大な障害を与えることはなく、むしろ樹皮生態系の一員として微妙なバランスの中で共存しています。最近の研究では、都市環境での観察例も増えており、都市生態系における役割にも注目が集まっています。日本では最近、アセビに生えるDendrothele arachisporaが報告されました(Ushijima & Maekawa, 2018)!スギにもおそらく未記載の種がしばしば見られますが、その他の樹木でも探してみる価値は十分にあります!
野外同定のコツ:まず宿主樹種を確認!白色〜灰色の薄い「皮」が樹皮に張り付いていたら本属の可能性大…でも、肉眼的にはどれも似たり寄ったりに見えますっ!ルーペで表面の質感(平滑or粉状)をチェックし、地衣類との区別には本属菌の子実体の縁があまり明瞭でないことに注目。正確な種同定には顕微鏡観察が必要ですが、宿主樹種である程度絞り込めます。胞子をつくっていなかったら、別の季節に再チャレンジです!
各形質の対数尤度比(log positive likelihood ratio)を示しています。
緑色のカード:その分類群に特徴的な形質
オレンジ色のカード:他の分類群に特徴的な形質
グレーのカード:統計的に有意でない(95% CIが0をまたぐ)
信頼区間(CI)は95%信頼区間を示しています。CI下限が0を超える場合、統計的に有意な正の関連があることを示します。