🗓️ 最終更新日: 2025-05-25
- 褐色腐朽を引き起こす木材腐朽菌で、分解した木材は褐色に変色し立方体状に割れるのが特徴🪵
- 子実体の形態は多様で、棚状(サルノコシカケ型)、きのこ型(ハラタケ型)、背着生(コウヤクタケ型)の3タイプ🍄
- 主に針葉樹材を好み、枯死木や切り株、さらには建築材や枕木にも発生します🏗️
- マツオウジはクレオソート処理された防腐木材でも生育可能な特殊能力を持ち、「列車破壊者」と呼ばれることも🚂
- 進化的にはマツ科植物の出現後に多様化したといわれており、針葉樹と強い関係があります✨
- 子実層は襞状・迷路状・管孔状など属によって様々な形状です🔍
- 多くの子実体は革質から木質で丈夫。水を吸うと蘇るものも💪
- キカイガラタケ目(Gloeophyllales)という独立目を構成する重要な科です📚
キカイガラタケ科は、主に褐色腐朽を引き起こす木材腐朽菌のグループです。形態的には棚状、きのこ状、殻皮状と多様ですが、ほとんどの種が針葉樹材を好んで分解し、木材を褐色に変色させて立方体状に割れさせる特徴的な腐朽パターンを示します。代表種の一つ、マツオウジについては、日本ではあまり知られていない性質ですが、クレオソートなどの防腐剤を含む処理木材でも生育でき、「列車破壊者(Train Wrecker)」の異名を持つほど強力な分解能力を誇ります。
キカイガラタケ科は担子菌門・ハラタケ綱・キカイガラタケ目(Gloeophyllales)に属します。分子系統解析により、この科は白色腐朽を引き起こす祖先から進化し、褐色腐朽型の木材分解能力を獲得したことが明らかになりました。この性質は担子菌門内で複数回独立して進化したとされますが、キカイガラタケ目はその一例です。
最新の研究では、キカイガラタケ目は白亜紀に起源を持ち、マツ科植物の出現後に多様化したと考えられています。興味深いことに、科内のサビカワウロコタケ属(Boreostereum)は例外的に白色腐朽を引き起こし、最も祖先的な位置にある可能性が示唆されています。
最も観察頻度が高い属で、全世界のiNat観察記録は約2万5千件。主に針葉樹の枯死材や建築材に発生します。革質から木質の硬さを持つ棚状で柄のない子実体を形成します。子実層面は襞状から迷路状、または管孔状と変化に富みますが、特に襞状の場合には、他に同様の硬質菌が少ないので、属までの同定がしやすいです。上面は褐色で粗毛状です。菌糸構成は2菌糸型または3菌糸型。
本科で2番目に観察記録が多い(約1万3千件)。典型的なきのこ型(ハラタケ型)の子実体を形成し、明確な傘と柄を持ちます。代表種はマツオウジで、日本でも普通に見られます。傘表面は鱗片状を持ち、最大の特徴は襞の縁がギザギザした鋸歯状であること。かつてはケガワタケ属(Lentinus)に分類されていましたが、分子系統解析により本科に移されました。強靭な肉質が特徴的です。
どちらもコウヤクタケ型(背着生)の地味な子実体を形成しますが、系統的に重要な属です。チズガタサルノコシカケ属は観察例が少ないですが、本当に地図のような形のきのこです。サビカワウロコタケ属は科内で唯一白色腐朽を引き起こすとされ、最も祖先的な位置にある可能性があります。
キカイガラタケ科の菌類は、森林生態系における重要な木材分解者として機能しています。特に針葉樹林において枯死木の分解と栄養循環に大きく貢献し、炭素循環の重要な担い手となっています。多くの種が褐色腐朽を引き起こし、セルロースとヘミセルロースを選択的に分解しながら、リグニンはほとんど分解しません。
褐色腐朽菌の特徴的な分解メカニズムは、フェントン反応によるヒドロキシラジカルの生成です。強力な酸化力により、防腐処理された木材さえも分解できる特殊な能力を獲得しています。分解された木材は褐色に変色し、水分を失って収縮し、特徴的な立方体状の亀裂を生じます。
実用的な同定のコツ:まず、マツオウジは別枠で考えましょう。ツバマツオウジとの区別は諸説ありますが、個性的な種なので、傘の鱗片、襞の鋸歯、松脂の臭いなどですぐに同定できるはずです。残りのキカイガラタケ属ですが、標高の高い地域に発生する傾向があるので、関東の里山で出会うことは限定的です。襞を持つ硬質菌がカイガラタケ、エゴノキタケ、チャカイガラタケのいずれでもなかった場合に考慮しましょう。キチリメンタケは稀に見つかります。まず基質が針葉樹であることを確認。次に子実体のサイズ、傘の色、襞の密度と厚さなどを見れば種まで識別できる可能性が高いです。
各形質の対数尤度比(log positive likelihood ratio)を示しています。
緑色のカード:その分類群に特徴的な形質
オレンジ色のカード:他の分類群に特徴的な形質
グレーのカード:統計的に有意でない(95% CIが0をまたぐ)
信頼区間(CI)は95%信頼区間を示しています。CI下限が0を超える場合、統計的に有意な正の関連があることを示します。