🗓️ 最終更新日: 2025-05-26
- 褐色の胞子紋と小型〜中型の地味な子実体が特徴的な外生菌根菌のグループです🍄
- 傘は繊維質・鱗片状が典型的で放射状に裂けることも多く、多くは褐色系の地味な色調をしています
- メチュロイドとよばれる特殊なシスチジアの有無が属レベルの重要な識別点!Inocybe属だけが厚壁で結晶を持つタイプです💎
- 特徴的な臭いを持つ種が多く、精子様・果実様・蜂蜜様・魚様など多様です👃
- 顕微鏡で見ると担子器のネクロピグメント化(崩壊して褐色に)が一部の属で観察されます🔬
- 多くの種が毒成分のムスカリンを含有!身近なアセタケ科菌類に食用になるものはありません⚠️
- 世界で7属・1,300種以上が知られ、23科以上の樹木と菌根共生します🌲
- 2019年の分子系統解析で従来のInocybe属が7つの属に分割されました📊
アセタケ科(Inocybaceae)は担子菌門・ハラタケ目に属する外生菌根菌のグループです。一見地味な褐色系のきのこですが、顕微鏡で見るとメチュロイドの有無や形態、担子器のネクロピグメント化など、興味深い特徴がたくさん!かつては全てInocybe属にまとめられていましたが、2019年の分子系統解析により7つの属に分割されました。これにより、野外での同定は属レベルすら困難ということも多くなり…。多くの種がムスカリン毒を含むため、同定には細心の注意が必要です。
アセタケ科は担子菌門・ハラタケ目に属し、かつてはフウセンタケ科(Cortinariaceae)に含まれていました。Walter Jülichによって独立した科として提案され、その後の分子系統解析により単系統性が確認されました。
2019年のMathenyらによる6遺伝子(RPB1、RPB2、TEF1a、18S、28S、5.8S)を用いた大規模な系統解析により、従来のInocybe属が多系統群であることが判明。現在は7つの属(Inocybe、Pseudosperma、Inosperma、Mallocybe、Auritella、Tubariomyces、Nothocybe)に分割され、より自然な分類体系となっています。
アセタケ科最大の属で、世界に約1,050種。厚壁で先端に結晶を持つメチュロイドが決定的な識別点です。胞子は平滑または角張った形状で、担子器はネクロピグメント化しません。温帯地域に広く分布し、マツ、カバノキ、コナラなど多様な樹木と菌根共生。精子様または緑色のトウモロコシ様の臭いを持つ種が多いです。
約70種を含み、以前はInocybe sect. Rimosaeとして知られていました。代表種は「オオキヌハダトマヤタケ」あたりでしょうか。最大の特徴は放射状に裂ける(rimose)傘とメチュロイドの欠如。胞子は平滑で楕円形〜腎臓形、幅は平均6.0μm以上。弱い精子様の臭いが特徴的。世界中に分布しますが、特に北方の温帯林に多く見られます。
約70種以上を含み、特徴的な臭い(果実様・蜂蜜様・魚様・ゼラニウム様など)を持つことで知られます。代表種は「キヌハダトマヤタケ」「シラゲアセタケ」「アオアシアセタケ」など。メチュロイドを欠き、胞子は平滑で腎臓形〜類球形。しばしば赤みを帯びた肉質を示し、アフリカ、アジア、オーストラリア、ヨーロッパ、北米、南米北部に広く分布します。
約55種以上を含み、担子器のネクロピグメント化とアルカリで暗色に呈色する傘が特徴。綿毛状〜鱗片状の傘表面を持ち、菌褶は広く付着または僅かに垂生。縁シスチジアは50μm未満と短く、北半球・南半球の温帯地域から熱帯アフリカ、東南アジア、オーストラリアまで分布します。
2006年に記載された比較的新しい属。長く伸びた縁シスチジアとネクロピグメント化した担子器、硬い肉質が特徴。平滑で黄褐色の胞子を持ち、旧世界の熱帯(アフリカ、インド)とオーストラリアに分布。フトモモ科、マメ科、モクマオウ科、フタバガキ科と菌根共生します。
傘径20mm未満の小型種で、垂生する襞と柄全体の柄シスチジアが特徴。外観がTubaria属に似ることから命名されました。縁シスチジアは50μmを超え、担子器はネクロピグメント化。地中海地域と熱帯アフリカに限定的に分布する稀少な属です。
インド熱帯地域から発見された単一種のみの属。メチュロイドを欠くが縁シスチジアを持ち、平滑な胞子が特徴。系統的にはInocybe属の姉妹群に位置し、アセタケ科の進化を理解する上で重要な分類群です。まだ詳細な生態は不明な点が多く、今後の研究が待たれます。
アセタケ科のきのこは基本的に外生菌根菌として、少なくとも23科の維管束植物と共生関係を形成するといいます。温帯の針葉樹林・広葉樹林から熱帯雨林まで、世界中の様々な森林生態系で重要な役割を果たしています。
生育環境は多様で、石灰質〜中性の豊かな土壌を好む種が多いですが、砂質土壌に特化した種もいます。都市公園や道路脇など人為的環境にも出現し、環境適応力の高さを示しています。樹木への養分・水分供給を通じて森林の健全性維持に貢献する、まさに「森の縁の下の力持ち」的存在です。
安全な観察のために:アセタケ科の多くはムスカリン毒を含有し、摂取すると発汗・流涎・瞳孔縮小・腹痛などの中毒症状を引き起こします。絶対に食べないこと!同定には顕微鏡観察が必須で、①メチュロイドの有無と形態、②胞子の表面構造、③担子器のネクロピグメント化、④特徴的な臭い、などを総合的に判断します。種までの同定は、よほど特徴的な種でないと厳しいかも…
各形質の対数尤度比(log positive likelihood ratio)を示しています。
緑色のカード:その分類群に特徴的な形質
オレンジ色のカード:他の分類群に特徴的な形質
グレーのカード:統計的に有意でない(95% CIが0をまたぐ)
信頼区間(CI)は95%信頼区間を示しています。CI下限が0を超える場合、統計的に有意な正の関連があることを示します。