🗓️ 最終更新日: 2025-09-30
- 炭のように硬い黒色の子座が特徴で、半球形またはクッション状を呈します🍄
- 孔口は環状円盤で囲まれた乳頭状という極めて特徴的な構造を持ちます✨
- 各子嚢殻を個別に包む炭化組織が本属の決定的な特徴です
- 10% KOH処理でオリーブ緑色・紫色・橙色の色素を抽出できます🎨
- 子嚢胞子は左右不等の楕円形で、発芽溝の位置とペリスポアの脱落性が種の識別に重要です🔍
- 孔口にはTruncatum型(徐々に剥離)とBovei型(突然剥離)の2タイプがあります
- 広葉樹の腐朽材や樹皮に発生し、ナラ類やカシ類に特に多く見られます🌳
- 一部の種はシロキクラゲ栽培の宿主菌として実用的な価値を持ちます
アニュロヒポキシロン属は、炭質の硬い黒色の子座と、環状円盤で囲まれた特徴的な乳頭状孔口を持つことで特徴づけられる子嚢菌(旧核菌類)のグループです。2005年にアカコブタケ属(Hypoxylon)から分離され、2018年にはアカコブタケ科(Hypoxylaceae)に移されました。約70種が認められ、広葉樹の腐朽材や樹皮に普通に見られます。一部の種はナラ類の病原菌としても知られています。
アニュロヒポキシロン属(Annulohypoxylon)は子嚢菌門・クロイボタケ綱・アカコブタケ目・アカコブタケ科に属します。2005年にHsiehらが分子系統解析に基づき、従来のアカコブタケ属Annulata節を属レベルに昇格させたグループです。
さらに2018年、Wendtらによる分子系統学的研究によりアカコブタケ科が復活・修正され、本属はクロサイワイタケ科(Xylariaceae)からアカコブタケ科へと移されました。チャコブタケ属(Daldinia)、アカコブタケ属、Jackrogersella属などと近縁で、これらは全てノドゥリスポリウム(nodulisporium)様のアナモルフを共有しています。類縁属の識別には子座の二次代謝産物プロファイルが有用で、例えば本属はJackrogersella属と異なりcohaerin型アザフィロンを産生しません。
関東の里山で極めて普通に出会う種で、コナラの落枝のほとんどに発生していると言っても過言ではないかもしれません。広がったクッション状の子座を形成し、表面は黒色。子嚢胞子のペリスポアは10% KOHで脱落します。KOH色素はオリーブ緑色~緑色。ナラ類に潰瘍病を引き起こす病原菌として重要です。
iNaturalistでは本属菌で最も全世界の観察記録が多い種です(約8,150件)。分布域は広いですが、特に北米の東部と大西洋岸北西部から大量の記録があります。子座は半球形~球形。最大の識別点は顕著に大型の子嚢胞子で、発芽溝が胞子の平らな側に位置します。ペリスポアは10% KOHで脱落しません。KOH色素は暗緑色。
アニュロヒポキシロン属の菌類は主に腐生菌として、広葉樹の枯死材や樹皮を分解して生活しています。ナラ類、カシ類などのブナ科植物に特に多く発生しますが、稀に針葉樹にも見られます。多くの種は内生菌(エンドファイト)として植物組織内に症状を起こさずに潜んでおり、樹木の死後または弱化後に子実体を形成します。
一部の種(クロコブタケなど)は病原性を持ち、ナラ類に潰瘍病を引き起こします。また、A. archeriやA. stygiumはシロキクラゲの宿主として実用的に重要で、寄生菌であるシロキクラゲと共培養させることでシロキクラゲの収量が増加することが知られています。
実用的な同定手順:日本で見られる本属菌は専らクロコブタケと同定されていますが、現代的な研究がされていないので、今後複数の種に分かれる可能性は否定できません。ルーペで見られる孔口周囲の環状円盤が特徴的で、野外ではしばしばカタツブタケ属(Rosellinia)と紛らわしいですが、この形質によって識別可能です。時にクッション状や半球形ではなく扁平な子座を形成することがありますが、やはり環状円盤が重要な識別形質になります。
各形質の対数尤度比(log positive likelihood ratio)を示しています。
緑色のカード:その分類群に特徴的な形質
オレンジ色のカード:他の分類群に特徴的な形質
グレーのカード:統計的に有意でない(95% CIが0をまたぐ)
信頼区間(CI)は95%信頼区間を示しています。CI下限が0を超える場合、統計的に有意な正の関連があることを示します。