Daldinia

チャコブタケ属

genus
最終更新:2025年07月13日

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なばえノート: Daldinia ✨チャコブタケ属
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なばえノート: Daldiniaチャコブタケ属

🗓️ 最終更新日: 2025-07-13

「なばえノート」は、菌類同定支援AI「なばえ」が学術論文や専門資料を独自に解析して作成した、AIによる自動生成コンテンツです。最新の研究成果を参考にしており、管理人のチェックも経ていますが、ハルシネーション(誤情報)が含まれる可能性があります。同定や研究の参考にされる際は、必ず原典や専門書での確認をお願いします。

同定ポイント

  • 子座は半球形〜球形黒色、表面は光沢があり硬い質感です🌑
  • 表面に微小な子嚢殻の開口部があり、ルーペで観察可能です
  • 断面に特徴的な同心円状の層構造(年輪のような模様)が見られます✨
  • 直径は通常2〜8cm程度で、複数が融合するとさらに大きくなることがあります
  • KOH反応で放出される色素の色により5つの主要種群に分類されます🎨
  • 子嚢胞子は楕円形〜紡錘形で暗褐色、発芽溝を持ちます🔍
  • 広葉樹の枯死木や倒木に発生し、一部の種は焼け跡に特異的に出現します🔥
  • 潜在的内生菌(エンドファイト)として宿主内部に長期間潜んでいることがあります
属名はスイスの修道士で植物学者のAgostino Daldini(1817-1895)さんに由来するんですよ♪

チャコブタケ属Daldinia)は木材腐朽性の子嚢菌の一グループです。褐色~黒色で硬い球形の子座と、断面の美しい同心円状構造が最大の特徴。現在50種以上が認められており、形態・化学反応・分子系統に基づいて5つの主要グループに分類されています。

断面の同心円構造は一目瞭然!KOH反応の色で5つの種群を見分けられます

系統メモ🧬

チャコブタケ属子嚢菌門フンタマカビ綱クロサイワイタケ目アカコブタケ科Hypoxylaceae)に属します。1863年に記載された歴史の古い属です。

かつてはクロサイワイタケ科Xylariaceae)に分類されていましたが、分子系統解析により現在はアカコブタケ科に移されています。分子系統樹上ではアカコブタケ属Hypoxylon)やAnnulohypoxylon属とは明確に区別され、独自のクレードを形成。主に熱帯に分布するEntonaemaPhylaciaRhopalostromaThamnomycesなどの小規模な属はDaldinia系統内に含まれることが判明しています。

同じアカコブタケ科アカコブタケ属や、老成して黒くなった時はクロコブタケの仲間との混同に注意!

主要な種と特徴

ダルディニア・コンセントリカ種群(D. concentrica species complex

iNat観察記録が最も多い種群(約9,000件)です。断面に環紋をあらわすことと、KOH反応で紫色の色素を放出するのが特徴。代表種のD. concentricaは主にヨーロッパに分布し、トネリコ属(Fraxinusに頻繁に発生します。子嚢胞子は比較的大型。

紫色の色素が出るなんて、まるで魔法のインクみたい!トネリコの木を要チェックです♪
チャコブタケ種群(D. childiae species complex

日本でも見られるD. childiaeチャコブタケ)が代表種(iNat観察記録3,700件以上)。チャコブタケは、関東の里山で最も普通に見られる本属菌です。KOH反応で褐色〜赤褐色の色素を放出。子嚢胞子はD. concentrica種群に比べると小型。北米に広く分布し、以前はD. concentricaと誤同定されていました。チャコブタケは新鮮時は硬めの質感で、断面を切ると美しい環紋をあらわしますが、老成すると黒色になって脆くなります。

日本でも見つかるチャコブタケ!褐色の色素反応で見分けられますよ〜
チャコブタケモドキ種群(D. eschscholtzii species complex

D. eschscholtziiチャコブタケモドキ)を含む主に熱帯地域に分布する種群。チャコブタケモドキの子座は盤状〜半球形。子嚢の先端リングはメルツァー試薬で青変します。タイからはヒラタケ栽培の害菌としての報告があります(Gajanayake et al., 2021)。

日本からは1940年に報告されています!ただ、その後研究されていないようなので謎も多いです…。
ツボミタケ種群(D. vernicosa species complex

D. vernicosaツボミタケ)やD. loculataなど焼け跡菌(pyrophilous fungi)を多く含む種群です。iNat観察記録は約760件。世界的には火災跡の材に特異的に発生し、火災後の生態系回復に重要な役割を果たすといいますが、日本のツボミタケは特にそのような特徴は見られません…。柄のついたチャコブタケという印象で、林内で稀に見られます。

火災の後に現れる不思議なきのこ!まさに自然界のフェニックスですね🔥

生態・文化

チャコブタケ属の菌類は森林生態系における重要な木材分解者です。多くの種は潜在的内生菌として宿主植物の内部に長期間潜んでおり、宿主が乾燥ストレスや物理的損傷を受けると子座を形成します。このような「待機戦略」により、適切なタイミングで木材の分解を開始できるといわれています。本属菌は特に乾燥に強いことが知られており、同心円状の模様も乾燥から身を守るための仕組みだといわれています(Khalil et al., 2015)。

特に興味深いのは焼け跡菌の存在です。D. loculataD. vernicosaD. caldariorumなどは火災後の焼けた材に発生し、生態系の回復に重要な役割を果たします。これらの種が特殊な昆虫(特にキバチ属)と密接な共生関係を持つことも明らかになっています(Šrůtka et al., 2007)。

  • 広葉樹の枯死木・倒木(最も一般的)
  • 焼け跡の材(焼け跡菌)
  • 特定の宿主樹木(D. concentricaはトネリコ属を好む)
  • 温帯から熱帯の森林(種により分布が異なる)
  • 稀に単子葉植物
形態だけでは種レベルの同定が困難…分子系統解析が必要なことも多いんです⚠️

同定のコツ:材の上に茶色い瘤のような硬いきのこを見つけたら、まずナイフなどで切断し、断面の同心円構造を確認しましょう!老成すると、力を加えた時に崩れてしまうこともありますが、これも特徴です。クロコブタケアカコブタケ属菌とはいずれかの性質だけで識別可能です。次にKOH(水酸化カリウム)を垂らして色素をチェック。紫色ならconcentrica種群、茶褐色ならchildiae種群の可能性あり。発生環境と宿主樹種も重要な手がかりです。厳密な種レベルの同定には顕微鏡観察(時に走査型電子顕微鏡)やコロニーの形態観察、分子系統解析などが必要なことも多いです…。日本で長らくほとんど研究されていないグループなので、さらなる研究の進展が待たれます!

宿主の内部に潜んで、ストレスをきっかけに姿を現す…まるで忍者みたいですね♪

識別形質について

各形質の対数尤度比(log positive likelihood ratio)を示しています。

値が正に大きいほどその分類群に特徴的な形質、負に大きいほど他の分類群に特徴的な形質であることを示します。

エラーバーは95%信頼区間を示しています。観察数が少ないほど信頼区間が広くなります。