🗓️ 最終更新日: 2025-07-02
- 独特の形態を持つイグチの仲間!柄に粗い網目状または凹み模様があります🔍
- 胞子には特徴的な点状の模様(pit)があり、これが属の決定的な識別点となります✨
- 傘の色は白色~褐色、赤褐色、オリーブ褐色など種により様々で、表面も乾性~粘性と変化に富みます
- 管孔は白色から成熟すると桃色・紫色になり、傷ついても変色しません🎨
- 外生菌根菌で、特定の樹種と強い関係を持ち、日本ではシイ・カシ林に多く見られます🌳
- 属名は「南方のイグチ」の意味で、熱帯~温帯に広く分布しています🌏
- 2014年の分子系統解析で多系統群と判明し、現在は凹みのある柄を持つ系統のみが本属に残されました📊
ヤシャイグチ属(Austroboletus)は、イグチ科に属する菌根菌のグループです。最大の特徴は柄の粗い網目模様と、胞子に見られる特徴的な凹み。属名の「南方のイグチ」が示すように、主に熱帯・亜熱帯地域に分布しますが、日本や北米にも生息しています。管孔がしばしば特徴的な紫色になることや、傷ついても変色しないという、他の多くのイグチ類とは異なる性質も識別ポイントです。
ヤシャイグチ属は担子菌門・ハラタケ綱・イグチ目・イグチ科・Austroboletoideae亜科に属します。かつてはオニイグチ科に含まれ、「鬼」と「夜叉」でまとまっていましたが、現在はいずれもイグチ科の別系統をなしています。
2014年のWuらによる分子系統解析で、本属が多系統群であることが判明。凹みのある柄を持つ系統は本属として維持され、滑らかな柄を持つ系統はVeloporphyrellus属に再分類されました。Austroboletoideae亜科には凹みのある胞子を持ち、一般的に変色性を欠く4属(Austroboletus、Fistulinella、Mucilopilus、Veloporphyrellus)が含まれています。その後さらに、本亜科にはHemiaustroboletus属が追加されました。
日本にも分布する種です。傘は黄褐色~肉桂色で、直径2-3cmと小型。傘表面は細かくひび割れて鱗片状になり、縁部では表皮が管孔をやや覆うように懸垂します。最大の特徴は紫色を帯びた管孔と、顕著に隆起した網目状の柄。夏から秋にシイ・カシ林に発生し、特に斜面でよく見られます。肉に苦味があり、これはオオヤシャイグチとの識別ポイントになります。
主に北米東部に分布し、iNat観察記録が最多(約1,100件)の種。東アジアにも分布し、日本でも関東の里山でそこそこ見つかります。主に針葉樹と共生し、傘は和名(栗皮)の通り褐色~赤褐色で直径4-8cm、表面は乾燥して平滑、時にフェルト状。柄には縦方向の溝と小さな点または隆起があり、ヤシャイグチやオオヤシャイグチのような細長い隆起した網目状ではありません。本種は他のAustroboletus属菌と異なる独立の系統を形成するといわれており、おそらくHemiaustroboletus属に移されると思われます(Ayala-Vásquez et al., 2022)。
傘は鈍緑色~オリーブ緑色で中〜大型(4-8.5cm)、味は明瞭ではありません。胞子壁は成熟につれて平滑→微点刻状→網目状に段階変化する特異な性質を持ちます。ヤシャイグチより大型で苦味がないのが特徴です。
ヤシャイグチ属の全ての種は外生菌根菌で、特定の樹種と共生関係を形成します。日本のヤシャイグチはシイ・カシなどの照葉樹林を好みます。北米の種は針葉樹(カナダツガなど)や広葉樹(オーク)と、オーストラリアの種はユーカリ類と主に共生します。
特筆すべきはA. occidentalisが示す「feremycorrhiza」という新しいタイプの共生関係。これは完全な菌根ではないものの、菌根のような性質を持つとされ、木本植物だけでなく草本植物や非菌根植物とも共生できるという画期的な性質です。熱帯・亜熱帯地域、オーストラリアやニュージーランドなどの南半球、さらに日本や北米にも分布します。
実用的な同定ポイント:野外では①柄の網目模様や凹みをチェック ②管孔の色(白→桃色・紫色)を確認 ③傷つけても変色しないことを確認 ④生育環境(樹種)を記録。顕微鏡があれば胞子の特徴的な模様でほぼ確定できます!
各形質の対数尤度比(log positive likelihood ratio)を示しています。
緑色のカード:その分類群に特徴的な形質
オレンジ色のカード:他の分類群に特徴的な形質
グレーのカード:統計的に有意でない(95% CIが0をまたぐ)
信頼区間(CI)は95%信頼区間を示しています。CI下限が0を超える場合、統計的に有意な正の関連があることを示します。