🗓️ 最終更新日: 2025-05-25
- 湿った状態で傘の縁から涙のように黒い水滴を分泌するのが最大の特徴です💧
- 傘は繊維質〜鱗片状で、黄褐色〜灰色、中央部はしばしば濃い色になります
- 柄は繊維質〜綿状の被膜の名残があり、それより上は白っぽくなります
- 胞子紋は黒褐色〜黒色で、胞子には疣状の装飾があります🔍
- 顕微鏡で見ると胞子に顕著な「鼻状」の発芽孔があるのが特徴的です
- 濃硫酸で胞子の色が退色する性質は、近縁のナヨタケ属(Psathyrella)との重要な区別点✨
- 主に草地、公園、開けた森林などに生育する腐生菌です
- 世界で約14種が知られ、最も一般的な「ムジナタケ」は世界的に広く分布します🌍
ムジナタケ属は「涙を流すキノコ」として知られる、ヒトヨタケ科の担子菌類です。湿った状態で傘の縁から黒い水滴を分泌する様子は、英名の「Weeping Widow(泣く未亡人)」の由来にもなりました。和名の「ムジナ」もごわごわした繊維質の傘と柄をよく表現しています。
ムジナタケ属(Lacrymaria)は担子菌門・ハラタケ目・ナヨタケ科に属する腐生菌の仲間です。以前はヒトヨタケ科(Coprinaceae)に含まれていましたが、分子系統解析により現在の位置に再編成されました。
かつてはナヨタケ属の一部とされていましたが、2008年のPadamseeらの研究により、装飾された胞子や濃硫酸での退色特性などの形態的特徴と分子データから、独立した単系統群として認識されるようになりました。現在、ナヨタケ科内でParasola、Coprinopsis、Lacrymariaの属の境界が明確に定義されています。
最も広く分布し、世界中で多数の観察記録がある代表種。傘は直径3-10cm、黄褐色で繊維質、湿った状態では縁から黒い「涙」を流します。柄は4-13cm、太さ0.5-1.5cmで、永存性の繊維質の被膜の名残があります。公園、芝生、開けた森林など様々な環境に生育し、北米、ヨーロッパ、アジア、ニュージーランドに分布。
主にオーストラリアとニュージーランドに分布する種で、iNatでは本属2位の観察記録数。ムジナタケよりも「毛深い」外観を持ちます。傘は灰色がかった色で、柄が長く、群生することが多いのが特徴。湿った森林の小道、廃棄物集積場、道路脇などの撹乱を受けた場所に好んで生育します。傘は年齢とともに白色から淡褐色〜黄褐色に変化。
北米の五大湖以東に分布する森林性の種で、iNatでは本属3位の観察記録数。傘と柄は茶色の鱗片と繊維に覆われ、まるで毛皮のような外観を呈します。襞は柄に付着し、成熟すると褐色〜帯紫褐色に。顕微鏡的特徴として、襞の縁に白い不稔帯があり、このコントラストが同定のポイント。
L. pyrotrichaは橙色の傘の表皮が特徴的なヨーロッパの種。L. velutinaは分子系統解析によりL. lacrymabundaのシノニムであることが判明。属全体で約14種が知られていますが、まだ研究途上の種も多く存在します。
ムジナタケ属の種は全て腐生菌で、落葉、木片、腐った木材、土壌中の有機物などを栄養源として利用し、特に人間の生活圏に近い環境でよく見られるのが特徴です。
草地、公園、芝生、畑などの開けた場所から、森林の切り株周辺まで幅広い環境に適応しています。道路脇や撹乱を受けた地域にも生育し、都市環境への適応力の高さを示しています。一部の種は地域固有ですが、ムジナタケのように世界的に広く分布する種もあり、人間活動による分布拡大の可能性も指摘されています。
顕微鏡観察の重要性:ムジナタケ属の確実な同定には顕微鏡観察が不可欠です。特に重要なのは胞子の装飾(疣状)と顕著な「鼻状」発芽孔の存在です。また、さすがに危険すぎて手軽に使える試薬じゃないけど、濃硫酸で胞子の色が退色する性質は、形態的に似ているナヨタケ属との決定的な区別点となります。胞子のサイズは種によって異なります。縁シスチジアのサイズや形状も併せて記録しておきましょう。
各形質の対数尤度比(log positive likelihood ratio)を示しています。
緑色のカード:その分類群に特徴的な形質
オレンジ色のカード:他の分類群に特徴的な形質
グレーのカード:統計的に有意でない(95% CIが0をまたぐ)
信頼区間(CI)は95%信頼区間を示しています。CI下限が0を超える場合、統計的に有意な正の関連があることを示します。