🗓️ 最終更新日: 2025-06-04
- 成熟すると傘が溶けて墨汁のような液体になってしまう、「液化」現象が最大の特徴です🍄
- 傘は灰色~褐色~白色と多様で、節により粉状・繊維質・膜質の被膜を持ちます✨
- 襞は初め白色ですが、成熟すると灰色から黒色になり、最終的に溶解します
- 柄は通常円筒形で中空、壊れやすく、白色~灰色で被膜の名残が残ることがあります
- 胞子紋は黒色で、胞子は楕円形~卵形、多くの種で発芽孔を持ちます🔍
- 生育環境は非常に多様で、腐朽材やリターだけでなく、しばしば動物の糞に生えることも🌿
- 2001年に旧Coprinus属から分離され、現在はナヨタケ科に属します📚
- 子実体はとにかく短命で、特に暑い時期や湿度の高い条件では数時間で溶解してしまいます⏰
ヒトヨタケ属(Coprinopsis)は、担子菌門・ハラタケ目・ナヨタケ科に属する菌類で、成熟すると傘が墨汁状に溶ける「液化」現象で有名です。子実体は非常に短命で、時には数時間で溶解してしまいます。2001年まではCoprinus属に含まれていましたが、分子系統解析により独立属となりました。世界で約200~230種が知られ、腐朽材、糞、土壌など多様な環境に適応しています。
ヒトヨタケ属(Coprinopsis)は担子菌門・ハラタケ亜門・ハラタケ綱・ハラタケ亜綱・ハラタケ目・ナヨタケ科(Psathyrellaceae)に属します。Coprinopsisの属名は1881年にフィンランドの菌類学者Karstenによって記載されましたが、その後長らくCoprinus属の亜属として扱われていました。
2001年、Redhead et al.による画期的な分子系統解析により、従来のCoprinus属が多系統であることが判明。大部分の種はCoprinopsis、Coprinellus、Parasolaの3属(全てナヨタケ科)に再編され、元のCoprinus属(ササクレヒトヨタケなど少数)はハラタケ科に残されました。これに伴い、「ヒトヨタケ属」の和名もCoprinusからCoprinellusに移ることに。属内は形態や分子データに基づき複数の節に分類され、主要な3つの系統群の存在が確認されています。
Atramentariae節の代表種で、傘径3-10cmの中~大型種。灰色~灰褐色で光沢のある滑らかな傘表面が特徴。都市部の枯れた樹木の根元や芝生に群生し、春から秋の雨の後に出現。コプリンという物質を含有し、アルコールとの併用で激しい中毒症状(顔面紅潮、吐き気、動悸など)を引き起こすため、英名は「Tippler's Bane(酒飲みの破滅)」。食後最大5日間はアルコール厳禁!
Lanatulae節の代表種。幼菌時は密に白い毛で覆われ、まるでウサギの足のような外観から「Hare'sfoot Inkcap」の英名を持ちます(種小名も同語源)。成熟すると毛が消失し灰褐色の傘(径2-4cm)が露出。老成すると傘の縁がめくれ上がります。驚異的な成長速度を持ち、同時に見られる最小個体と最大個体で100倍以上のサイズ差があることも。倒木や腐植土、最近では都市のウッドチップなどにも群生します。それらしきものはしばしば見かけますが、なかなか自信を持って同定できない種です。
Picaceae節の代表種で、傘径5-7.5cm、高さ7-12cmの大型種。日本には分布しませんが、欧米では馴染みのある種です。深い暗褐色の光沢のある傘表面に銀白色の被膜片が残り、カササギの羽毛のような白黒の模様を形成する印象的な外観。主に落葉樹林(特にブナ林)の腐植土に発生し、アルカリ性土壌を好む傾向あり。防虫剤のような不快な臭気があることも。同じPicaceae節にはもう1種、C. variegataという類似種があり、これは主に北米東部に分布します。
ヒトヨタケ属は全て腐生菌として機能し、森林生態系の物質循環に重要な役割を果たしています。多くの種が木材分解能力を持ち、リグニンやセルロースを分解。ウシグソヒトヨタケ(C. cinerea)はモデル生物として研究され、子実体形成のメカニズムが詳細に解明されています。
生育環境の多様性は驚くべきもので、腐朽材から動物の糞、富栄養な土壌、さらには都市環境のウッドチップにまで適応。はかないイメージとは裏腹に、一部の種は極めて強靭で、アスファルトを突き破ったり舗装を持ち上げたりすることも報告されています。
実用的な同定の流れ:①基質と生育環境を確認(木材・糞・土壌など)→②傘の被膜の質感を観察(粉状・繊維質・膜質)→③成熟段階による変化を記録(難しい場合は近くに幼菌から老菌まで揃っていないか探してみましょう)→④可能なら顕微鏡で胞子の大きさ・形状・発芽孔の有無を観察。短時間で急速に変化するため、様々な発達段階の観察が重要です!多様な種を含む大きな属で、肉眼では見分けがつきにくい種も多いので(ついでに言うと、和名が似ている種も多い!)、種までの同定は困難かもしれません…。同じナヨタケ科のキララタケ属、ヒメヒガサヒトヨタケ属との識別にも注意しましょう!
各形質の対数尤度比(log positive likelihood ratio)を示しています。
緑色のカード:その分類群に特徴的な形質
オレンジ色のカード:他の分類群に特徴的な形質
グレーのカード:統計的に有意でない(95% CIが0をまたぐ)
信頼区間(CI)は95%信頼区間を示しています。CI下限が0を超える場合、統計的に有意な正の関連があることを示します。