🗓️ 最終更新日: 2025-05-30
- 草地でよく見かける小型のヒトヨタケ型菌類です🍄
- 典型的な本属菌は傘中央部が黄褐色で、日傘のような放射状の深い溝線をあらわすことが多く、溝線は中心から縁まで達します☂️
- ヒトヨタケ属のきのこと異なり、成熟しても液化しないか、ごく弱い液化のみです✨
- 子実体は極めて短命で、雨の後に一晩で現れ、24時間以内に消失することも⏰
- 傘表皮は楕円形〜球形の細胞が柵状に並ぶ特徴的な子実層状被です🔍
- 主要種の識別は傘表面の剛毛の有無、胞子の形と発芽孔の位置などがカギになります📊
- 最新の研究で2つの節に分かれ、Conopileae節はナヨタケ型、Parasola節は典型的な本属菌の子実体を形成します🌈
- 世界で約40種が記載され、近年も新種の発見が続いています🌏
ヒメヒガサヒトヨタケ属(Parasola)は、その名の通り小さな日傘のような形をした可愛らしいきのこたちです。以前はヒトヨタケ属(Coprinus)の一部でしたが、2001年の分子系統解析により独立属として再分類されました。最大の特徴は、被膜を持たないことと、成熟しても液化しないか極めて弱いこと。雨の後の朝、芝生や公園に突然現れて、まるで小さな日傘が開いたような姿を見せてくれます。
ヒメヒガサヒトヨタケ属は担子菌門・ハラタケ目・ヒトヨタケ科(Psathyrellaceae)に属します。かつてFriesの時代から長らく旧ヒトヨタケ属(Coprinus)の一部として扱われてきましたが、1994年と1999年のHoppleとVilgalysによる先駆的な分子系統解析により、真のヒトヨタケ類とは系統的に離れていることが判明しました。
2001年、Redhead et al.によって正式にParasola属として独立。現在はConopileae節(ナヨタケ型の子実体を持つ)とParasola節(典型的な本属菌の形態)の2つの節に分類されています。2025年の最新研究では、これらの節の形態的識別基準が明確化され、傘の溝の形成機構や襞の付着様式の違いが進化的に重要であることが示されました。
属の代表種で世界で最も観察記録が多い種(iNat約2万件)。芝生に発生し、傘は最大3.5cmで深い放射状の溝が特徴的。若い時は黄褐色、成熟すると灰色に。襞には偽襟帯(pseudocollarium)とよばれる構造が見られます。胞子はレモン形〜六角形で発芽孔は偏心性。
傘の直径は最大6cmと、属内ではかなり大型になることもあります。最大の特徴は傘表面の長い赤褐色の剛毛(setae)で、これが「金色の髪」を意味する種小名の由来。若い時は橙褐色〜赤褐色、成熟すると灰色になり、ほとんど液化しません。胞子は楕円形で発芽孔は中心性。森林内の落葉や公園のウッドチップマルチに発生します。
Conopileae節に属し、元々はナヨタケ属に含まれていたこともあって、一見ヒメヒガサヒトヨタケ属とは思えない外観です。傘に深い溝を持たない地味な姿をしています。DNA解析の結果から本属に移されました。傘は円錐形〜鐘形で、湿時は光沢のある赤褐色。襞は柄に狭く付着し、つば様構造を持ちません。広葉樹林の落葉上に発生。
近年の研究で多数の新種が発見されています。2017年に3種(P. crataegi、P. ochracea、P. plicatilis-similis)、2018年に2種(P. glabra、P. pseudolactea)がパキスタンから、2023年に1種(P. papillatospora)がクロアチアから記載。2025年の最新研究では中国から8新種が発見され、本属の多様性は想像以上に豊かです。
ヒメヒガサヒトヨタケ属のきのこは腐生菌として、様々な有機物を分解する重要な生態系の分解者です。最も特徴的なのはその極めて短命な子実体で、多くの種が降雨後の一晩で子実体を形成し、翌日の午前中には胞子を放出して消失してしまいます。
発生環境は種によって異なり、ヒメヒガサヒトヨタケは主に短く刈り込まれた芝生や草地を好み、オオカバイロヒトヨタケは森林内の落葉層やウッドチップマルチ、オオナヨタケは広葉樹林を好みます。興味深いことに、P. miseraという種は本属で唯一の絶対的糞生菌として知られています。分布は世界的で、ヨーロッパ、北米、アジア、オーストラリアなど広範囲から報告されています。
観察のコツ:雨が降った翌朝の芝生や公園をチェックし、見つけたらすぐに撮影を!襞の付着様式(偽襟帯の有無)と、傘表面の剛毛の有無を確認。可能なら胞子紋(黒褐色)を採取して顕微鏡観察すると、胞子の形と発芽孔の位置で種同定ができます!以前は典型的な本属菌は、ヒメヒガサヒトヨタケとコツブヒメヒガサヒトヨタケを胞子のサイズから見分ければ済んだのですが、ここまで種が増えると、本当にそれだけでよいのか再考が必要かもしれませんね…。
各形質の対数尤度比(log positive likelihood ratio)を示しています。
緑色のカード:その分類群に特徴的な形質
オレンジ色のカード:他の分類群に特徴的な形質
グレーのカード:統計的に有意でない(95% CIが0をまたぐ)
信頼区間(CI)は95%信頼区間を示しています。CI下限が0を超える場合、統計的に有意な正の関連があることを示します。