🗓️ 最終更新日: 2025-05-25
- 子実体がとても脆くて壊れやすく、柄は指で軽く触れただけでポキッと折れちゃいます💔
- 傘は吸湿性があり、湿った状態と乾いた状態で色が著しく変化します🎨
- 襞は成熟すると褐色〜黒色または暗紫褐色になり、ヒトヨタケのように液化しません
- 柄は白色〜淡黄白色で中空、輸送中に壊れやすいほど繊細な構造です✨
- 被膜の名残が傘の縁に付着したり、稀に柄につばを形成することも🔍
- 顕微鏡で見ると胞子は褐色〜暗紫褐色で頂部に発芽孔があり、種によってサイズが大きく異なります
- 2015年の研究で多系統群と判明し、一部はKauffmania属やTyphrasa属などに再分類されました📚
ナヨタケ属(Psathyrella)は、その名の通り「脆い」きのこたちの仲間です。子実体はスレンダーで繊細、持って帰るまでにボロボロになってしまうことも…。かつては約400種を含む巨大な属でしたが、分子系統解析により複数の属に分割されつつあります。イタチタケは現在は独立した別属なので、「ナヨタケ属」と同定する時にはまずイタチタケではないことを確実にしましょう!関東の里山でよく見るハイイロイタチタケも別属です…!
ナヨタケ属は担子菌門・ハラタケ目・ナヨタケ科(Psathyrellaceae)に属します。基準種はPsathyrella gracilis(現在はP. corrugisの異名)で、多数の節に分かれている巨大な属です。日本では散発的に新産種などが報告されていますが、系統的にはまだ十分研究されていないグループです…!
2015年のÖrstadius et al.の画期的な研究により、従来のナヨタケ属が多系統群であることが判明しました。分子系統解析の結果、ナヨタケ科は大きく4つの主要クレードに分かれ、Parasola、Coprinopsis、Lacrymaria/Spadiceaeの一部、そしてPsathyrellaに対応することが示されました。この研究ではKauffmania、Typhrasaの2新属提唱、Cystoagaricus属の修正といった大改革が行われました。
Hydrophilae節の代表種で、地上ではなく広葉樹の株元や倒木に群生することが重要です。傘は直径2-5cm、湿った時は栗色〜さび褐色ですが、乾くと黄褐色に退色。傘の縁に白色の被膜の名残が付着し、成熟すると胞子で暗褐色に。柄は2-7cm × 0.3-0.7cm、中空で非常に脆い。胞子は4.5-6 × 3-3.5μmと小型。本属でiNatの全世界の観察記録が最も多い種で、日本でも頻繁に見つかります。
属の基準種で、Psathyrella節の代表種。傘は直径1-4cm、若い時の傘縁に条線があります。湿った時は中程度の褐色、乾くと淡黄褐色に。柄は4-8cm × 1.5-3mmと非常に細く、先端に粉状被膜を伴います。胞子は11-13 × 5.5-7.0μmと大型。都市公園のウッドチップなどによく発生し、林内ではなく開けた場所に発生する傾向があります。襞の縁が赤色に縁取られるかどうかも近縁種との区別に重要な情報です(ルーペで確認!)
Spadiceogriseae節の特殊な種で、砂丘環境に特化しています。傘は直径1-4cm、褐色〜淡褐色で砂粒が付着することも。柄の基部は砂中に深く根を張り、イネ科植物の根を分解。胞子は10-11 × 6-7μm、暗褐色で大きな発芽孔を持ちます。
Psathyrella節に属し、ナヨタケに似ていますが、より小型で傘に紅色の色調を帯びるのが特徴的。iNat観察記録が多い普通種で、春の他のきのこがまだ少ない時期に、落葉や腐植土上に発生するので分かりやすいです。胞子サイズや縁シスチジアの形態で近縁種と区別されます。
ナヨタケ属の種は全て腐生菌で、驚くほど多様な環境に適応しています。基本的には倒木、切り株、木屑などの腐朽した木材上に発生しますが、有機物が豊富な土壌や草地にも見られます。
特に注目すべきは特殊環境への適応例です。P. aquaticaは米国オレゴン州の川で完全に水中で子実体を形成する世界的にも稀な種。P. pennata(carbonicola)は焼け跡専門、さらに糞上に特化した種群(P. hirta、P. potteriなど)や、腐朽したヒトヨタケやササクレヒトヨタケに発生するP. epimycesのような菌生の種まで存在します。
実用的な同定の流れ:まず触ってみて脆さを確認(でも壊さないように!)→被膜の名残のパターンを観察(傘縁・柄のつばなど)→生息環境と基質を詳細に記録→可能なら顕微鏡で胞子サイズとシスチジアの形態を確認。意外と役立つのが傘表皮!子実層状被であることで類似の属から区別できることも多いです。Spadiceogriseae節では球形有柄のパラシスチジアが診断的!
各形質の対数尤度比(log positive likelihood ratio)を示しています。
緑色のカード:その分類群に特徴的な形質
オレンジ色のカード:他の分類群に特徴的な形質
グレーのカード:統計的に有意でない(95% CIが0をまたぐ)
信頼区間(CI)は95%信頼区間を示しています。CI下限が0を超える場合、統計的に有意な正の関連があることを示します。