🗓️ 最終更新日: 2025-05-31
- 白色~黄色の胞子紋を持つハラタケ目の中型~大型きのこです🍄
- 最大の属であるキシメジ属(Tricholoma)は襞の柄との付着部が切れ込みのある湾生(notched)であり、外生菌根菌として特定の樹木と共生します🌲
- 科内で2番目にiNat観察記録が多いオオイチョウタケ属(Leucopaxillus)は襞が垂生(decurrent)し、主に腐生菌として森林の有機物を分解します♻️
- キシメジ属の胞子は非アミロイド性、オオイチョウタケ属はアミロイド性で刺があるのが顕微鏡での決め手🔬
- 分子系統解析により2亜科10属に再編成され、かつての「ゴミ箱分類群」から脱却しました✨
- キシメジ属は収穫後速く劣化しますが、オオイチョウタケ属は抗菌特性で長持ちという対照的な性質!
- 多くの種で特徴的な臭いがあり、特にオオイチョウタケ属では不快臭が同定の手がかりに💨
キシメジ科(Tricholomataceae)は、かつて白色~黄色の胞子を持つハラタケ目の「ゴミ箱分類群」でしたが、分子系統学の発展により現在は2亜科10属の明確な単系統群として再定義されました。最大の属であるキシメジ属は外生菌根菌として樹木と共生し、切れ込み状の襞が特徴的。一方、オオイチョウタケ属は腐生菌として森林の分解者として機能し、垂生の襞と優れた耐久性を持ちます。
キシメジ科は担子菌門・ハラタケ綱・ハラタケ目・キシメジ亜目(Tricholomatineae)に属します。2015年の系統ゲノム研究でキシメジ亜目が新設され、キシメジ科のほか、シメジ科(Lyophyllaceae)、イッポンシメジ科(Entolomataceae)、マクロシスチジア科(Macrocystidiaceae)などを含む単系統群として確立されました。
歴史的には膨大な数の属を含む「ゴミ箱分類群(よく分からないものをとりあえず放り込んでおくグループ)」でしたが、2014年のSánchez-Garcíaらの研究により7属に大幅縮小。その後の研究でシュードベオスポラ亜科(Pseudobaeosporoideae)とキシメジ亜科(Tricholomatoideae)の2亜科体制となり、現在は計10属が認められています。キシメジ属は後期白亜紀(約6000万~9000万年前)にマツ科樹木との菌根共生から始まったと推定されています。
世界で最もiNat観察記録が多い本科の代表属。白色の胞子紋と切れ込み状(notched)の襞が決定的な特徴で、外生菌根菌として特定の樹木と強い共生関係を築きます。マツ科、カバノキ科、ブナ科などと共生し、収穫後は速やかに劣化するため迅速な観察が必要。現在10の節に分類され、マツタケ(T. matsutake)を含むMatsutake節など多様な種を含みます。
北米で10種未満、世界で約15種が知られる大型の白色きのこ。傘は最大40cmに達し、垂生する襞が特徴的。アミロイドで刺のある胞子、特徴的な不快臭、そして優れた耐久性によりキシメジ科の他属と容易に識別可能。主に腐生菌として森林の落葉を分解します。
Vizzini et al. (2025) で独立したシュードベオスポラ亜科に分類される特異な属。ほとんどの種が非常に稀です!クヌギタケ型またはモリノカレバタケ型の子実体を形成し、小型で厚壁、デキストリノイドの胞子が特徴。世界中に約20種が分布します。胞子サイズと担子器の小柄数を併せて種を識別します。
キシメジ亜科に属する比較的小型のきのこで、草地に多いことが知られています。日本からのiNat観察記録は今のところ0件。地味な色をしていますが独特の粉臭や特徴的な傘表皮構造(pluristratous hymeniderm)で知られています。観察記録数は中程度ですが、分類学的に重要な位置を占めます。種の同定には顕微鏡観察が必須で、傘表皮細胞の配列パターンが決め手となります。
Albomagister属、Corneriella属、Dennisiomyces属、Porpoloma属、Pseudoporpoloma属、Pseudotricholoma属など、観察記録が少なく、日本でもほとんど知られていないものの、系統学的に重要な属が含まれます。これらは分子系統解析により本科への所属が支持され、それぞれ独自の形態的・生態的特徴を持ちます。今後の研究でさらなる発見が期待される分類群です。
キシメジ科は森林生態系で多様な役割を果たしています。キシメジ属は外生菌根菌として樹木の根と共生し、水分や栄養の吸収を助け、病原菌から宿主を保護します。マツ科、ブナ科、カバノキ科など特定の樹木の科と強い結びつきを示し、森林の健全性維持に不可欠です。
一方、オオイチョウタケ属は主に腐生菌として機能し、森林の落葉や倒木を分解して栄養循環を促進します。時に大群生したり巨大な菌輪をなしたりすることも!両属とも主に秋季に子実体を形成しますが、地域により発生時期は異なります。
同定の流れ:野外でのキシメジ科としての認識はあまり現実的ではありませんが、あえて科内で主要2属を見分けるなら…①襞の付き方を確認(湾生→キシメジ属、垂生→オオイチョウタケ属)→②胞子紋の色を採取(白色~黄色がキシメジ科の特徴)→③臭いを確認(特にオオイチョウタケ属は特徴的)→④可能ならヨード反応で胞子のアミロイド性を確認。キシメジ属の種同定は簡単な種もありますが、カキシメジとその近縁種など、肉眼では識別困難なグループもあります…。
各形質の対数尤度比(log positive likelihood ratio)を示しています。
緑色のカード:その分類群に特徴的な形質
オレンジ色のカード:他の分類群に特徴的な形質
グレーのカード:統計的に有意でない(95% CIが0をまたぐ)
信頼区間(CI)は95%信頼区間を示しています。CI下限が0を超える場合、統計的に有意な正の関連があることを示します。