🗓️ 最終更新日: 2025-06-06
ヌメリコウジタケ属(Aureoboletus)はイグチ科の中でも、特に粘性のある傘と鮮やかな黄色の肉で知られる魅力的なグループです。1957年にPouzarによって命名されましたが、2014年の分子系統解析で他属から多くの種が移されました。傷つけても青変しない黄色い管孔という分かりやすい共通点があるほか、種ごとの個性も強く、美しいイグチたちです。子実体はかなり大型になる種もある一方、ヒメヌメリイグチやトゲミノヒメイグチのようにごく小型の種もあります。
ヌメリコウジタケ属は担子菌門・ハラタケ綱・イグチ目・イグチ科のXerocomoideae亜科に属します。2014年の大規模な分子系統学的研究により、かつてキクバナイグチ属(Boletellus)やキイロイグチ属(Pulveroboletus)に分類されていた種が本属に移され、Sinoboletus属も同義語として統合されました。
最新の複数遺伝子解析により、属内に8つの主要なクレードが確認されています。基準種のA. gentilisを含むクレードIが最も大きく、粘性のある傘と鮮やかな黄色の肉という典型的な特徴を示します。キクバナイグチ属、Hemileccinum属、ベニイグチ属(Heimioporus)、Xerocomus属などと近縁ですが、傘表皮構造と青変しない性質で明確に区別されます。
北米に分布し、全世界で最も観察記録が多い本属菌です(約3,500件)。傘は金色がかった黄色からオレンジ褐色で、皺があるように見えます。最大の特徴は柄のささくれ状の表面。若いときは粘性が強く、成熟すると乾きやすくなります。肉は鮮やかな黄色で傷つけても変色しません。主にコナラ属と菌根共生します。
北米太平洋岸とアジアに隔離分布する大型種。日本でも亜高山帯で見られます。傘は最大15cmで赤褐色から暗赤褐色、若いときは粘性があり成熟するとビロード状に。独特の淡色の水玉模様をあらわします。柄は赤褐色で長い網目模様が美しいです。最大の特徴は腐朽材上に発生すること!菌根菌なのに材上生という不思議な生態を持ちます。アンモニア水で桃色に呈色する反応も特徴的。
北米東部からメキシコ、アジアまで広く分布し、日本にも分布します。傘は黄褐色から赤褐色で成熟すると亀裂が入り鱗片状になります。最大の特徴は長い柄の深い溝と隆起による毛羽立った外観。顕微鏡で見ると担子胞子に縦方向の溝があるのが決定的な識別点です。オーク、ベイツガ、マツなど様々な樹種と菌根共生します。
北米東部からメキシコの雲霧林に分布。傘は鈍赤褐色から黄褐色で3-8cm、初め粘性あり。柄は特徴的に棍棒形に膨らみ、基部が先細りになります。管孔と肉は鮮黄色。管孔は成熟すると約2mm幅に拡大します。胞子紋はオリーブ褐色。アルカリで赤色系の呈色反応を示します。本種はもともとBoletus属から本属に移されましたが、その手順には査読も根拠もなかったとする反対意見もあります(Kuo, 2020)。
北米に分布し、属内でも特に強い粘性を持つ種。傘は肉桂色から暗赤褐色でほぼ粘液状の分泌物に覆われます。柄は上部が黄色、下部が赤と白の混合色という美しいグラデーション。傘肉は白から帯桃黄褐色で酸味があるのが特徴的。秋の終わりから冬にかけてオークの落葉中に発生します。
ヌメリコウジタケ属のきのこたちは、熱帯から温帯まで幅広い地域の森林生態系で重要な役割を果たす外生菌根菌です。主にブナ科(コナラ属)やマツ科(ツガ属、マツ属)の樹木と共生関係を結び、樹木に水分やミネラルを供給する代わりに光合成産物をもらって生活しています。
興味深いことに、オオキノボリイグチのように腐朽材上に発生する種もいますが、これも実際は材中を走る生きた根と菌根を形成していると考えられています。地理的には中国南部が最も多様性が高く、北米にも多くの種が分布。一部の種は飛び地状に分布する興味深いパターンを示します。
見分け方のコツ:まず傘の粘性をチェック(濡れているときが分かりやすい)→ 傘を裏返して黄色い管孔を確認 → 管孔を傷つけて青変しないことを確認 → 柄の装飾パターン(網目・溝・ささくれなど)を観察。この手順で近縁のイグチ類と区別できます!種の同定には胞子の装飾(平滑?縦溝あり?)も重要です。極小の子実体で胞子に装飾があればトゲミノヒメイグチかも。
各形質の対数尤度比(log positive likelihood ratio)を示しています。
緑色のカード:その分類群に特徴的な形質
オレンジ色のカード:他の分類群に特徴的な形質
グレーのカード:統計的に有意でない(95% CIが0をまたぐ)
信頼区間(CI)は95%信頼区間を示しています。CI下限が0を超える場合、統計的に有意な正の関連があることを示します。