🗓️ 最終更新日: 2025-06-21
ウラグロニガイグチ属(Sutorius)はイグチ類の外生菌根菌のグループです。2012年にBoletus属やTylopilus属から独立した比較的新しい属で、暗紫色から赤褐色の特徴的な色彩と、柄の細かい鱗片状模様、そして赤褐色の胞子紋という3つの特徴の組み合わせが識別の決め手となります。
ウラグロニガイグチ属は担子菌門・ハラタケ綱・イグチ目・イグチ科(Boletaceae)のPulveroboletusグループに位置します。基準種のウラグロニガイグチ(Sutorius eximius)は1874年にBoletus robustusとして記載されましたが、この名は既に使用されていたため、1887年にBoletus eximiusに改名されました。
その後、赤褐色の胞子紋からTylopilus属へ、柄の鱗片模様からLeccinum属へと転属を繰り返しましたが、2012年にHallingらの分子系統解析により独自の系統であることが判明し、Sutorius属として独立しました。近年の研究では、従来単一種と考えられていたS. eximiusが実際には複数の隠蔽種を含む複合種である可能性が示唆されています。
本属の基準種で、世界で最も広く分布する種です。北米東部から南米にかけてとアジアなどに分布し、iNaturalistでは属内で圧倒的に最多の観察記録です(約900件)。日本でも見られますが、主に標高の高い地域に分布し、関東の里山ではごく稀に出会う程度です。暗紫色からチョコレート褐色の子実体を持ち、針葉樹と広葉樹の両方と菌根共生します。複合種であることが示唆されており、多様な樹木との共生や胞子サイズの地域ごとの違いはそれを反映している可能性があります。
日本に分布する有毒種で、摂取すると重度の胃腸症状を引き起こします。関東の里山ではまず見られず、富士山など亜高山帯の針葉樹林に発生します。分類学的位置づけについては議論があり、一部の文献ではNeoboletus属に含まれることもあります。毒成分はまだよく分かっていませんが、マウスに致死的な毒性を示すボレベニンという成分が特定されています。
ウラグロニガイグチ属の全ての種は外生菌根菌であり、様々な樹木と共生関係を形成します。特にウラグロニガイグチは(見かけ上の、かもしれませんが)驚くほど幅広い宿主範囲を持ち、Dicymbe属、フタバガキ属、ブナ属、Hopea属、コナラ属、サラノキ属、ツガ属など、広葉樹と針葉樹の両方と関係を持つことが知られています
菌根菌として、宿主植物から炭素化合物を受け取る代わりに、土壌から水分やミネラル(特にリン)を効率的に吸収して植物に供給し、さらに病原体からの保護効果も提供します。
同定のコツ:ウラグロニガイグチは特に日本では紛らわしいきのこがないので、雰囲気を覚えれば同定は難しくないです。問題は毒きのこのドクヤマドリですが、富士山など分布域では、生息環境が類似するヤマドリタケとの鑑別が重要です。ヤマドリタケは柄に網目があるのでそこで見分けられます。
各形質の対数尤度比(log positive likelihood ratio)を示しています。
緑色のカード:その分類群に特徴的な形質
オレンジ色のカード:他の分類群に特徴的な形質
グレーのカード:統計的に有意でない(95% CIが0をまたぐ)
信頼区間(CI)は95%信頼区間を示しています。CI下限が0を超える場合、統計的に有意な正の関連があることを示します。