🗓️ 最終更新日: 2025-05-27
- 大分生子の形が鎌形なのが最大の特徴!大分生子は3-5個の隔壁を持ち、基部に柄足細胞という特殊構造があります🌙
- 培養すると白・ピンク・薄紫・オレンジなど鮮やかな色のコロニーを形成します🎨
- 小分生子は楕円形や腎臓形で、偽頭状や鎖状に並ぶのが特徴的✨
- 一部の種は厚壁胞子(chlamydospore)という球形の耐久構造を作り、土壌中で長期間生き残ります💪
- 同定にはPDA・SNA・CLAなどの標準培地での培養と、分生子の詳細な観察が必要です🔍
- 植物病原菌として重要で、萎凋病・赤かび病・馬鹿苗病など様々な病害を引き起こします🌾
- 一部の種はマイコトキシン(フモニシン、トリコテセン類など)を産生し、食品安全上も重要です⚠️
- 分子系統解析により7つの主要クレードと約300種が存在すると推定されています📊
Fusarium属は世界中の土壌に広く分布する糸状菌(カビ)の仲間です。鎌形の胞子(大分生子)が最大の特徴で、より小型で目立たない小分生子を作ることも。多くは落葉や植物残渣を分解する腐生菌として生活しています。しかし一部の種は重要な植物病原菌として、農作物に甚大な被害をもたらします。コムギの赤かび病、トマトの萎凋病、イネの馬鹿苗病など、聞いたことがある病名も多いのでは?さらに一部の種はマイコトキシン(カビ毒)を産生し、食品安全の観点からも注目される重要な菌群なのです。
Fusarium属は子嚢菌門(Ascomycota)・フンタマカビ綱(Sordariomycetes)・ボタンタケ目(Hypocreales)・ネクトリア科(Nectriaceae)に属します。有性世代は主にGibberella属として知られていましたが、現在は二重命名法の廃止によりFusarium属に統合されています。
最新の分子系統解析により、Fusarium属は少なくとも7つの主要なクレードに分けられることが判明しました。かつて形態学的特徴だけで分類されていた時代から、現在ではITS領域、EF-1α、β-チューブリン、RPB1、RPB2などの複数の遺伝子マーカーを用いた多遺伝子系統解析が主流となっています。推定では約300の系統的に区別される種が存在するとされていますが、正式に記載されているのはその半数以下で、今後も新種の発見が期待されています。
イネの馬鹿苗病を引き起こすF. fujikuroiを含む重要な複合種。ジベレリン(植物成長ホルモン)を産生し、感染したイネが異常に伸長する、生物の教科書にも出てくる「馬鹿苗」症状を引き起こします。また、トウモロコシに感染するF. verticillioidesやF. proliferatumはフモニシンという発がん性が疑われるマイコトキシンを産生。小分生子が鎖状に形成されるのが形態的特徴です。
世界中の土壌に分布し、多くの植物の維管束萎凋病(vascular wilt)を引き起こす重要な植物病原菌群。宿主特異性により多数の分化型(formae speciales)に分けられ、例えばf. sp. lycopersiciはトマト、f. sp. cubenseはバナナ(パナマ病)に特異的に感染します。厚壁胞子を顕著に形成し、土壌中で長期間生存可能。小分生子は楕円形〜腎臓形で、偽頭状に並びます。
コムギやオオムギの赤かび病、トウモロコシの穂腐れ病の主要な原因菌。大分生子は比較的太く直線的で、通常5-6個の隔壁を持ちます。デオキシニバレノール(DON)やゼアラレノンなどのトリコテセン系マイコトキシンを産生し、穀物の収量と品質に深刻な影響を与えます。培養すると赤みがかった色素を産生するのが特徴的。小分生子は通常形成されないか、まれにしか見られません。
現在では多くの種がNeocosmospora属に再分類されていますが、広義のFusariumとして扱われることも多い複合体。多くの植物に根腐れや立枯病を引き起こし、時には免疫不全患者の日和見感染症の原因にもなります。
Fusarium属菌類は地球上のほぼ全ての陸上生態系に存在し、物質循環において重要な役割を果たしています。多くの種は腐生菌として植物残渣を分解し、土壌の肥沃化に貢献しています。しかし一部の種は植物病原菌として農業に甚大な被害をもたらし、世界の食糧安全保障にとって大きな脅威となっています。
病原性を持つ種の感染様式は多様で、根から侵入して維管束を詰まらせる萎凋病、穂に感染して赤かび病を引き起こすもの、種子伝染するものなど様々です。また、マイコトキシン産生能を持つ種は、収穫後の穀物や飼料中でも増殖し続け、フモニシン、トリコテセン(DON、T-2トキシン)、ゼアラレノンなどの有害物質を蓄積させます。これらの毒素は発がん性、免疫毒性、生殖毒性などを示し、ヒトや家畜の健康に深刻な影響を与える可能性があります。
実用的な同定の流れ:①まず鎌形の大分生子を確認(隔壁数と柄足細胞に注目)→②培地での色を記録(白・ピンク・紫・オレンジなど)→③小分生子の配列を観察(偽頭状か鎖生するか)→④厚壁胞子の有無をチェック→⑤宿主植物と病徴を記録→⑥種レベルの同定にはEF-1α遺伝子などの配列決定が必要。CLA培地(カーネーション葉寒天)での培養が胞子形成に最適です!
各形質の対数尤度比(log positive likelihood ratio)を示しています。
緑色のカード:その分類群に特徴的な形質
オレンジ色のカード:他の分類群に特徴的な形質
グレーのカード:統計的に有意でない(95% CIが0をまたぐ)
信頼区間(CI)は95%信頼区間を示しています。CI下限が0を超える場合、統計的に有意な正の関連があることを示します。