🗓️ 最終更新日: 2025-06-04
- モレルの名でも知られる代表的な大型子嚢菌のグループで、網目状(蜂窩状)の頭部が特徴的な春のきのこです🍄
- 系統的に以下の3つの主要な節に分かれます:Distantes節(ブラックモレル)・Morchella節(イエローモレル)・Rufobrunnea節(原始的なアミガサタケ類)✨
- 頭部の肋脈(隆起)と窪みの色の関係が節レベルの重要な識別ポイント:ブラックモレルは肋脈が暗色、イエローモレルは肋脈が淡色です🎨
- 頭部と柄の接合部の湾入部(サイナス)の有無をチェック!Rufobrunnea節は接合部が湾入せず、滑らかに接合します🔍
- 春季(3~5月)の発生が基本ですが、M. galilaeaやM. rufobrunneaは秋・冬にも発生する変わり者です🍂
- 分子系統解析により従来の形態分類が大幅に見直され、形態のみによる識別が困難なことも明らかになってきています…💡
- 焼け跡に豊富に発生する火災適応型の種(M. eximia、M. importunaなど)も存在します🔥
- 独特の形態から属はすぐに識別できますが、シャグマアミガサタケ属やテンガイカブリ属との識別は重要です(特に食用の観点から)⚠️
- 生活環には謎が多いですが、無性世代として秋にコスタンティネラ(Costantinella)とよばれる白いマット状のコロニーを形成します🌱
アミガサタケ属(Morchella)は世界中で愛される「高級」食用きのこです。その特徴的な網目状の頭部は、一度見たら忘れられませんよね…。形態で大きく「ブラック」「イエロー」の2つのグループに大別されています。現在は分子系統学的に3つの節に整理され、世界に約70~80種が分布していることがわかっています。
アミガサタケ属は子嚢菌門(Ascomycota)・チャワンタケ菌綱(Pezizomycetes)・チャワンタケ目(Pezizales)・アミガサタケ科(Morchellaceae)に属します。同じ科にはテンガイカブリ属やカニタケ属が含まれますが、圧倒的にiNat観察記録が多いのはこの属です(5万件超!)。
現在は3つの主要な系統グループに分類されています:最も原始的なRufobrunnea節(2種)、いわゆるブラックモレルのDistantes節(Elataクレード、約32種)、イエローモレルのMorchella節(Esculentaクレード、約36種)。形態による種の識別は時に困難で、ITS、EF1-α、RPB1、RPB2など複数の遺伝子を組み合わせた同定が最も有効とされています。
いわゆるブラックモレルがこのグループ。暗褐色~黒色の網目を持つグループで、肋脈が窪みより暗色なのが特徴。成熟すると肋脈はさらに黒ずみます。多くは円錐形~楕円形で、縦長の窪みが目立ちます。針葉樹林や撹乱地、特に火災跡地に多く発生。代表種は北米東部のM. angusticeps、都市環境に発生するM. importuna、半離生(half-free)型のM. punctipesなど。M. conicaという学名はトガリアミガサタケの和名に対応し、かつてはよく用いられていましたが、Franck et al. (2014) で実際には複数の別種からなることが明らかになり、現在は使われていません。
いわゆるイエローモレルがこのグループ。黄褐色~淡褐色の美しい網目を持ち、肋脈は常に窪みより淡色。楕円形~卵形の頭部に不規則または縦横の窪みが配列します。主に広葉樹林下に発生し、世界的には特に枯死したニレ属やトネリコ属と関連。ヨーロッパ産のM. esculenta、北米のM. americana(従来M. esculentaとされてきた、高さ22cmに達する大型種)、小型で柄の長いM. diminutivaなどが代表種。日本ではM. esculentaにアミガサタケの和名が当てられてきましたが、少なくともこの種ではないことが分かっています…。
系統的に最も古い節で、M. rufobrunneaとM. anatolicaの2種のみ。若い時は急に尖った円錐形で、淡色の肋脈と暗灰色の窪みのコントラストが特徴。触れると褐色~赤みがかった桃色に変色する性質を持ちます。都市環境や庭園、ウッドチップなどの人為的環境を好み、秋~冬にも発生。商業的に栽培されている数少ないグループの一つでもあります。
アミガサタケ属は多様な生態的ニッチを占めており、主に腐生菌として落葉や枯死木を分解しますが、一部は菌根菌やエンドファイトの可能性も示唆されています。興味深いことに、M. crassipesはバクテリアを「農業」のように育てているという報告もあります(Pion et al., 2013)。
生息環境は節によって明確に異なり、イエローモレルは主に広葉樹林下、ブラックモレルは針葉樹林や焼け跡、Rufobrunnea節は都市環境や造園地を好みます。アミガサタケハンターはまず樹種を見ますよね。サクラ、イチョウ、カツラ…アミガサタケが生えるとされている樹種は複数あります。コンクリートの近くでの目撃例が多く、アルカリ土壌を好むことと関係しているとも言われています。
しかし、一方であまり知られていないのは、「アミガサタケが春以外にどこで何をしているのか?」という点です。秋に林内に「コスタンティネラ」とよばれる白いマット状の菌糸コロニーが見られ、時に胞子の煙が立つほど大発生しますが、実はこれはアミガサタケの「もう一つの姿(無性世代)」です。DNA解析により、この無性世代と有性世代が同一のものであることが証明されています。コスタンティネラはアミガサタケの子実体がとても生えないような場所でも見つかることがあり、未知の生態の存在を窺わせます(ヒラタケが線虫を食べているように、思いがけない生き方をしているかも…!?)。
実用的な同定の流れ:アミガサタケっぽいものに運よく出会えたら、まず肋脈と窪みの色の関係を確認しましょう!(肋脈が暗色→ブラックモレル、肋脈が淡色→イエローモレル)。発生環境を記録(広葉樹林・針葉樹林・焼け跡・都市環境)しておくと、次回以降似た場所で見つけやすくなるかもしれません。次に、頭部と柄の接合部をチェック(湾入なし→Rufobrunnea節も考慮)。窪みの配列パターンや触れた時の変色性も確認しておきます。縦断面が完全に中空であることも本属の特徴なので、必ず確認しましょう!しかし、実際にはここまで入念に観察しても、種までの同定は依然として、専門家でも困難なグループです。古い呼び名と最新の学名の不一致もあまりにも深刻…。DNAバーコーディングが一般の人の手に届く時代を待ちましょう…!
各形質の対数尤度比(log positive likelihood ratio)を示しています。
緑色のカード:その分類群に特徴的な形質
オレンジ色のカード:他の分類群に特徴的な形質
グレーのカード:統計的に有意でない(95% CIが0をまたぐ)
信頼区間(CI)は95%信頼区間を示しています。CI下限が0を超える場合、統計的に有意な正の関連があることを示します。