🗓️ 最終更新日: 2025-06-13
- 鮮やかな色彩(黄色・橙色・赤色・桃色)の中型〜大型の子実体を形成します🍄
- 子実層面は皺襞(しわ襞)状で、分岐・吻合して網目状になり、柄に垂生します✨
- 多くの種がアンズに似た甘い香りを持ち、これが名前の由来にもなっています🍑
- 顕微鏡で見ると平滑な担子胞子(類球形〜広楕円形)とクランプを持つ菌糸が観察できます🔍
- 識別ポイントは、ずばり色!特に若い子実体の子実層面の色が信頼できる識別形質です🎨
- 全て外生菌根菌で、オーク・ブナ・マツなど様々な樹木と共生関係を持ちます🌳
- 最新の分子系統解析により7亜属に分類され、世界で約300種が存在すると推定されています🌏
アンズタケ属(Cantharellus)は世界中の森林に広く分布する、美しいきのこのグループです。黄色や橙色、赤色などの鮮やかな色彩と、襞ではなく「皺襞」と呼ばれる分岐した網目状の構造を持つのが最大の特徴。多くの種がアンズのような甘い香りを放ち、ヨーロッパでは高級食材として珍重されています。
アンズタケ属は担子菌門・ハラタケ綱・アンズタケ目(Cantharellales)・カノシタ科(Hydnaceae)に属します。以前はアンズタケ科(Cantharellaceae)とされていましたが、分子系統解析の結果に基づき現在の分類になりました。
最新の研究により7亜属に分類されています:Cantharellus亜属(アンズタケなど)、Cinnabarinus亜属(ベニウスタケなど)、Afrocantharellus亜属(アフリカ産の種)、Parvocantharellus亜属(ヒナアンズタケなど)、Magni亜属、Pseudocantharellus亜属、Rubrinus亜属です。かつて「アンズタケ」と同定されていた世界各地の個体の多くが、実は別種だったことが判明し、分類学上の大変革が起きています。
ヨーロッパ原産の本属の基準種で、傘は5-12cmの黄色〜橙色で漏斗形。皺襞は明瞭に分岐・吻合し、アプリコットの香りが強いです。胞子は7-9.5×5-6μmの楕円形。担子器は80-105μmと長め。主にコナラ属やブナ属樹木と菌根を形成し、夏〜秋に発生します。長年世界中で「アンズタケ」とされてきた多くが別種だったことが判明し、真のC. cibariusはヨーロッパに限定的に分布することがわかっています。つまり、日本で見られる似た種は別種!予備的な研究では複数種の存在が示されており、「アンズタケ属の一種」としておくのが無難です…。
北米東部に分布する小〜中型種で、鮮やかな桃色〜朱赤色が特徴的。傘は2-6cmで平坦〜漏斗形。胞子は7-9×4-5μm。色素はカンタキサンチンという赤色カロテノイド。主にコナラ属樹木と菌根を形成。
北米東部に集中的に分布し、「平滑なアンズタケ(smooth chanterelle)」の英名で知られています。その名の通り、子実層面が平滑〜ごく浅い皺状という特徴的な形態を持ちます。傘は黄色〜橙色で漏斗形、肉厚。胞子は7-9×5-7μmの類球形~広楕円形。コナラ属樹木などと菌根を形成し、道路脇の草地や小川のほとりでも見つかります。日本を含むアジアやアフリカからの報告もありますが、別種の可能性が高いです。
北米太平洋岸北西部(オレゴン州、ワシントン州など)の針葉樹林に特化した種。かつてはベニウスタケと同種とされていました。黄色〜橙色の中〜大型子実体で、ダグラスファーなどと菌根を形成します。
小型の子実体(傘径2-5cm以下)で、レモン色〜橙色。細長い柄が特徴的で、皺襞は分岐して柄に垂生します。胞子は8-11×5-7μm。北米でオークなどの広葉樹林に発生。中国で「C. minor」とされていた多くの種が実際には別種であることが分かり、新種記載されています。日本にも似た種が分布しますが、その中のどれかか、あるいは未記載種の可能性が高そうです。
アンズタケ属の全ての種は外生菌根菌として、様々な樹木と共生関係を結んでいます。温帯では主にコナラ属、ブナ属などの広葉樹と、北米太平洋岸ではダグラスファーなどの針葉樹と菌根を形成。熱帯〜亜熱帯地域で特に多様性が高く、各大陸に固有種が多く存在することが分子系統解析で明らかになっています。
発生は森林の年齢と密接に関連しており、例えばC. formosusは中齢〜老齢林を好むことが示されています。また、年による発生量の変動が大きく、気象条件(降水量、温度)が大きく影響すると考えられています。多くの種が食用として高く評価され、商業的に収穫されるため、森林管理において重要なグループです。
類似種との識別:この属の識別ポイントは子実体の色です!主に黄色系、朱色系のものがあります。関東の里山では紫色を帯びるオトヒメアンズタケに似たものもありますが、対応する学名の種とは別種かもしれません。トキイロラッパタケやミキイロウスタケもかつて本属に含まれていましたが、現在はより薄い肉質で中空の柄などで特徴づけられるクロラッパタケ属(Craterellus)に移されています。ヒロハアンズタケ属(Hygrophoropsis)は皺襞ではなく真の襞を持ち、腐生菌です。上述の通り、本属には多数の隠蔽種が知られているので、なかなか種までの同定は困難です…!
各形質の対数尤度比(log positive likelihood ratio)を示しています。
緑色のカード:その分類群に特徴的な形質
オレンジ色のカード:他の分類群に特徴的な形質
グレーのカード:統計的に有意でない(95% CIが0をまたぐ)
信頼区間(CI)は95%信頼区間を示しています。CI下限が0を超える場合、統計的に有意な正の関連があることを示します。