🗓️ 最終更新日: 2025-05-25
- 無柄またはごく短い柄で木材に側生する、扇形・腎臓形・貝殻形の小型きのこです🍄
- 襞は黄褐色~褐色で、白色のヒラタケ属やヒメムキタケ属とはここで区別できます✨
- 傘は通常1-5cmと小型で、白色~クリーム色~黄褐色のものが多いです
- 関東の里山では複数種が見られますが、肉眼的形態だけでは限界も…できれば顕微鏡を覗くことが重要です!
- マルミノチャヒラタケのように、胞子が球形であることで絞り込める種も🔍
- 傘表面の毛の様子も重要な識別形質で、コナカブリやクリゲノチャヒラタケの同定に有用です
- 胞子が球形か楕円形かでざっくり分けられ、縁シスチジアの形態も重要です🌟
- どの種もそれなりに見かけるので、頻度で当たりをつけにくいことも同定が難しい要因の一つですね…
チャヒラタケ属(Crepidotus)は、世界に約320種が分布する木材腐朽菌のグループです。その名の通り茶色っぽい扁平なきのこで、多くは柄を持たずに木材に直接くっついて生えます。小型で地味な外見ですが、種ごとに傘の色や表面の毛、顕微鏡的形質などに微妙な違いがあります。時にヒポミセス属の一種(Hypomyces tremellicola)の寄生を受けてぐしゃっと変形した子実体も見られます…!
チャヒラタケ属は担子菌門・ハラタケ目に属し、分類学的にはチャヒラタケ科(Crepidotaceae)またはアセタケ科(Inocybaceae)に位置づけられます。1821年にFriesがハラタケ属(Agaricus)内の一群として記載し、1857年にStaudeが独立属に昇格させました。
2005年のAimeらの分子系統解析により、本属が単系統群であることが確認されました。属内は主に胞子形態により3亜属(Crepidotus、Sphaerula、Dochmiopus)に分けられます。球形胞子を持つ種群の単系統性については、使用する遺伝子マーカーによって異なる結果が得られており、収斂進化の可能性も示唆されています。
属の基準種で、傘径2-5cmとやや大型。傘表皮が弾力性のあるゴム状で、引っ張ると伸び、容易に剥がせることが特徴とされています(英名「peeling oysterling」の由来)。白色~クリーム色で、古くなると褐色を帯びます。楕円形の平滑な胞子(7-9×4-5.5μm)を持ち、主に広葉樹の枯木上に発生します。
世界的に最も観察記録が多い種(iNatで約9,000件)。傘径1-5cm、半円形~腎臓形で無柄。球形~類球形の小型胞子(4-5.5μm)に微細な装飾(刺状の疣)があるのが特徴。白色~クリーム色で、湿ると淡褐色を帯びます。北半球に広く分布し、主に広葉樹上に発生。近縁のC. piniは針葉樹特化型として区別されます。
傘径0.5-2cmと小型で、腎臓形~貝殻形。傘表面に微細な毛が密生するのが特徴で、これが和名の由来です。楕円形の胞子(5-7×3-3.5μm)は小さな疣状装飾を持ちます。広葉樹の小枝や倒木上に発生し、特に秋から冬にかけてよく見られます。ニセコナカブリやコナカブリモドキなど類似種が多いので同定は困難…。シロキクザタケにもサイズや生え方がよく似ていますが、こちらは襞の色(白色)と、襞基部に丸い突起があることで区別できます♪
傘径1-5cm、腎臓形~貝殻形で無柄。和名の「栗毛」が指す上面の毛に注目されがちで、実際こちらも識別に有用ですが、最大の特徴は若い時の襞がサフラン色(橙黄色)を呈することで、これが種小名(サフラン色の襞)の由来です。成熟すると普通の褐色になります。球形~類球形の胞子は微細な疣状装飾を持ちます。湿った環境を好み、枯れ木の上に発生。
チャヒラタケ属のきのこは全て木材腐朽菌で、森林生態系における二次分解者として重要な役割を果たしています。すでに初期分解が進んだ枯木や倒木を更に分解し、最終的に土に還す働きをしています。
多くの種は広葉樹の枯木を好みますが、C. piniのように針葉樹に特化した種もあります。無柄または短い柄で側生するヒラタケ型のきのこはいくつかありますが、多くは襞の色で区別され、近縁なビロードムクエタケ属やワサビタケ属も雰囲気がかなり異なります。湿った環境を好み、夏から秋、または秋から冬にかけて子実体を形成します。
見分けのコツ:まずチャヒラタケ属であることを確実に!柄の有無を確認(ほとんど無柄)、襞の色をチェック(必ず褐色系)、傘の特徴を観察(毛が生えているか)。これだけでは決め手に欠ける場合もありますが、顕微鏡で胞子の形(球形か楕円形か)と表面の装飾を確認すれば、種まで同定できる確率が高まります!
各形質の対数尤度比(log positive likelihood ratio)を示しています。
緑色のカード:その分類群に特徴的な形質
オレンジ色のカード:他の分類群に特徴的な形質
グレーのカード:統計的に有意でない(95% CIが0をまたぐ)
信頼区間(CI)は95%信頼区間を示しています。CI下限が0を超える場合、統計的に有意な正の関連があることを示します。